2026年9月2日、文部科学省で「デジタルな形態を含む教科書」をどう検定するかについて、新しい骨子案が示されました。動画・音声・シミュレーションなどを教科書の一部として扱う方法が検討され、AIについても搭載の必要性や信頼性、出力の正確さ、検定方法などが今後の論点に挙げられています。ただし、現時点で「AI搭載教科書の導入が決まった」わけではありません。
「これから教科書にもAIが入るの?」
「タブレットの教科書が、動画や音声まで含むようになる?」
「紙の教科書はなくなる?」
学校で1人1台端末を使うことが一般的になり、教科書についても「紙を画面に表示するもの」から、その先の形が検討され始めています。
文部科学省は2026年9月2日、教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回)を開催し、「教科書検定の改善に関する方向性(骨子案)」を示しました。
今回は、今日公開された資料から、決まったこと・まだ決まっていないことを分けて整理します。
デジタル教科書は「文字を画面で読むだけ」ではなくなる?
今回の骨子案では、デジタルな形態を含む教科書について、文字や静止画だけでなく、動画・音声・操作できるコンテンツなどをどのように審査するかが検討されています。
文部科学省の資料では、教科書として活用するデジタルコンテンツの例として、次のようなものが挙げられています。
- 数学など:図形やグラフを動かし、試行錯誤しながら視覚的に学ぶシミュレーション
- 理科など:実験器具の使い方や手順を確認する動画
- 技能教科:楽器の奏法や材料・用具の扱い方を確認する動画
- 外国語:発音を繰り返し聞くための音声
つまり、教科書がデジタル化する場合、単に紙面をそのまま画面へ移すのではなく、デジタルだからできる学習活動を組み込む方向も検討されています。
では「AI入り教科書」が決まった?
まだ決まっていません。
今日の資料では、AIを教科書へ搭載する可能性について、今後整理が必要な論点として挙げられています。
今後検討するとされている主な論点
- そもそも教科書にAIを搭載する必要があるか
- AIの性能・信頼性をどう確認するか
- 出力内容の適切さ・正確さをどう担保するか
- 教科書検定でどのような基準・方法・体制で審査できるか
生成AIは、入力する内容によって出力が変化する点が、通常の文章・動画とは大きく異なります。
そのため、教科書に組み込む場合には、「何が表示されるかを事前に確認できる教材」と同じ方法では審査しにくいという問題があります。
今回の資料も、その問題を整理している段階です。
デジタルなら何でも教科書に入れられるわけではない
骨子案では、教科書に掲載できるデジタルコンテンツについても条件が検討されています。
例えば、
- 教科の本質的な理解に役立つこと
- 学習上の目的・使い方が明確であること
- 授業の中で使用することが想定されていること
- 教科書会社が責任を持って編集・管理できること
などです。
また、教科書外のウェブサイトへ自由にリンクするのではなく、教科書発行者が管理できるコンテンツに限定する方向も示されています。
「デジタルにすれば便利だから入れる」ではなく、「教科書として何を学ばせるために必要なのか」が問われています。
紙の教科書はなくなる?
今回の資料だけから、「紙の教科書がなくなる」と判断することはできません。
むしろ骨子案では、紙とデジタルを組み合わせる場合には、それぞれの役割を分けて使うことが望ましいとされています。
同じ文章を紙とデジタルの両方へ大量に重複して載せるのではなく、紙で読む部分と、動画・音声・操作などデジタルの利点を生かす部分を分ける考え方です。
この点は、家庭学習にも参考になります。
SANITTOとしての見解|「紙かデジタルか」より、何をするために使うか
寺子屋SANITTOでは、紙とデジタルを二者択一にする必要はないと考えています。
例えば、
- 図形の変化を見る:シミュレーション
- 英語の発音を確認する:音声
- 解き方を整理する:ノートや紙
- 分からない部分を説明してもらう:デジタル教材や生成AI
- 本当に身に付いたか確認する:何も見ずに問題を解く
というように、目的によって道具を変えることができます。
特に生成AIでは、「答えを出してくれるか」より、AIを使ったあとに本人が一人で説明・再現できるかを見ることが重要です。
SANITTOでは、中学生がChatGPTを宿題に使うときの3ステップでも、「答えを任せる」のではなく、ヒント・点検・説明に使う考え方を紹介しています。
家庭でできる「デジタル教材3問チェック」
子どもがデジタル教材やAIを使っているときは、次の3つだけ確認してみてください。
- 「今、何を分かるために使っている?」
目的を言葉にします。 - 「使う前と比べて、何が分かった?」
画面を見ただけで終わっていないか確認します。 - 「閉じても自分でできる?」
最後に、自力で説明・問題演習ができるか確かめます。
3つ目が難しければ、教材から情報を得ることはできても、まだ自分で使える知識にはなっていない可能性があります。
よくある質問
AIが入った教科書の導入が決まったのですか?
いいえ。2026年9月2日時点では、AIを教科書へ搭載する必要性や、信頼性・正確性をどう確保するか、どのように検定するかなどを今後整理する必要があるという検討段階です。
デジタル教科書では動画も正式な教科書になりますか?
今回の骨子案では、動画・音声・シミュレーションなどを教科書として扱う場合の検定方法が検討されています。ただし、具体的な制度は今後の審議・制度整備を確認する必要があります。
紙の教科書はなくなりますか?
今回の資料から、紙の教科書がなくなるとは判断できません。骨子案では、紙とデジタルを組み合わせる場合、それぞれの役割を分担して使う考え方も示されています。
家庭でも生成AIを勉強に使わせた方がよいですか?
使う・使わないだけで決める必要はありません。学校のルールを確認したうえで、使う場合は「答えを完成させてもらう」のではなく、ヒント、説明、答えの点検など目的を限定し、最後に本人が自力で再現できるか確認する方法があります。
教材があっても勉強が進まないときは、使い方から整理できます
寺子屋SANITTOでは、西葛西・清新町、葛西など江戸川区周辺の小学生・中学生・高校生について、「教材を持っているけれど何から始めればよいか分からない」「タブレットで勉強しているが定着しているか分からない」「学校の授業についていけなくなった」といった段階から学習方法を整理します。
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- 文部科学省「令和8年度教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回)配付資料」(2026年9月2日)
- 文部科学省「教科書検定の改善に関する方向性(骨子案)の主な内容」(2026年9月2日)
情報確認・執筆日:2026年9月2日


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